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44.守中

身体には厚みがあります。お腹の処で身体の断面図を見ると、腰椎は身体の中心よりもやや後ろ側にあります。腰椎は、身体の後ろの面に接しているわけではないことを認識しました。身体の中心は腰椎の少し前にあることになります。

 

太極拳の動作に置いて、手や足の動きに意識をとられると、身体の中心のことを忘れて動いてしまいます。これが身体の不自然で正しくない動きを引き出しているのです。

 

  先生は、次のような動作で身体の中心の動きを私達に理解させようとしました。即ち、右手を胸の前に出し、人差し指一本だけを立て、指の腹を正面に向けるのです。その状態で、足と上体だけで太極拳の動きをするのです先生は、次のような動作で身体の中心の動きを私達に理解させようとしまし。例えば、左足前の弓歩から反対の右足前の弓歩までお動作では次のようになりました。

①人差し指は身体の中心であることを意識させる。

②人差し指を後ろに下げながら、身体も後ろに下げる。

③人差し指を左に回転させながら、身体も左に回転させ

 る。身体が左に回転した後では、人差し指は最初の状態

 に戻す。即ち身体の正面を向いている。

④人差し指を前(最初の向きから言えば左前)に押し出す

 ようにして体を前に動かし体重を左足にかける。

⑤人差し指はそのままにして右足を動かし前に運ぶ。

⑥人差し指を右に回転させながら、身体を右に回転させる

 (最初の向きと同じ方向になる)。身体が右に回転した

 後では人差し指は身体の正面を向くようにする。

⑦人差し指を前(最初の向きと同じ方向)に押し出すよう

 にして、身体を前に動かし体重を右足にもかけ、右足前

 の弓歩をつくる。

 

この動作をしている時、私は、手のことは右の人差し指以外何も気になりませんでした。そして、人差し指と身体の中心線が同じように動くことを感じました。

 

先生は次の3つの言葉を示して説明されました。

「探中」:中心がどこかを探す

「守中」:中心を守る

「用中」:中心を使う(中心の動きを使って体を動かす)

  

これら3つの「中」を意識しながら、簡化24式を行いました。身体の中心の動きばかりを意識した動きで、大変おもしろかったです。特に、中心を動かさないで足を動かすことを明確な感覚としてとらえることができました。