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48.裹臀(グオ・トゥン)

普通、人は身体を鍛えるとき、関節を使って筋肉を強くしようとする運動をよくしますが、関節を使わないでも筋肉を強くする方法があります。これは、寝たきり老人の衰えさせないためにも必要な方法でもあります。それは、筋肉だけを刺激する方法です。最近は、電気を使って筋肉を振動させる器具も販売されています。一方で、関節を使わないと、関節に栄養を与えることができないので、何かの方法で関節に栄養を循環させねばなりません。それが「貧乏ゆすり」だそうです。貧乏ゆすりは、膝には負荷がかからない状態で膝を動かしているので、必要な栄養が届くのだそうです。

 

さて、太極拳では、「円襠開胯」と言って、「胯を丸くして開きなさい」という教えがあります。今日はその部分を更に詳しく教わりました。これまで、胯を拡げると言うと股関節を引っ込ませることと思っていたのですが、もっともっと、奥深いものがありました。私たちの腰の下部には、仙腸関節と言うものがあります。このことは知っていましたが、関節と名がついているのが不思議なくらい動かないものと思っていました。しかし、これが動くのです。観音扉という物があります。真ん中で二つの扉が合わさり、左右に開く扉です。仏壇の扉などに使われています。仙腸関節の動き方はこれによく似ています。ただ、

仙骨と腸骨の間に蝶番がある形ですので、開き方は平ではありません。仙骨が下が尖った三角形をしていますので、腸骨の動きは少し斜めになります。

 

「円襠開胯」と言われると、腰を後ろに膨らませるように足の付け根の眼の部分を後ろに押し左右に広げるようにします。ほんの僅かな動きです。この動作により、腸骨が繋がっている蝶番の部分が後ろに押され、扉の部分に当たる腸骨の端(腰骨の部分)が前に出るように動きます。この動きを「裹臀(グオ・トゥン)」と言うそうです。裹は、果物のスイカのような大きいものを風呂敷で包む時の「包む」という意味だそうです。裹臀で、腰を包むと言う意味になります。裹臀ができるとお尻の部分が後ろに、そして左右にも広がるようになります。先生のお尻を触らせてもらって実感しました。

 

私たちは、まず、両足で立った状態で裹臀の練習をしました。そして次に片足で立った状態で裹臀の練習をしました。この時、片足で立つことが楽にできる感覚を持ちました。簡化24式を裹臀だけを意識して通してやってみました。とても疲れましたが、軸足がぶらつくことがこれまでよりもはるかに少なかったと感じました。そして、翌日、腰のなんとすっきりしていることか!これまでの練習では、どうしても、翌日、腰の重さを感じていて、柔軟体操を丁寧にやっていました。今後も裹臀を意識して練習して、翌日の腰の状態をチェックして行きたいと思いました。ひょっとすると、本当の太極拳を知ったのかもしれません。