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51.「紬糸勁」(チョウ・スー・ジン)

 生糸をつくるとき、繭玉から細い1本の糸をつまみ、その糸が切れないようにゆっくりと引き出していく時のことを想像して下さい。糸はとても細く弱いので、慎重にゆっくりと引き出していかないと切れてしまいます。糸を 切らないようにゆっくりと引き出します。

 

 この意識を持ちながら、練功の弓歩挿掌(ゴン・ブ・チャ・ザン)と転腰推掌(ズァン・ヤオ・トゥィ・ザン)で手を伸ばしていきました。先生は、伸ばす手の中指に糸は端が結び付けられていて、手を伸ばすのと反対の方向に繭玉があると考えて手を伸ばしなさいと言われました。慎重に、慎重に手を伸ばしていきました。中指だけに気持ちが集中していました。これが太極拳の手の動きであると教わりました。腕とか、肩とかを全く意識しないで指 だけが動いていくのです。

 

その後、簡化24式を通して行いました。指先だけを意識して簡化24式を行ったのは初めてでした。最初はぎこちなく感じていましたが、次第に指だけの動きに慣れてきて、指しか感覚が無いようになり、中指はジンジンしてきました。片足で立つのがうまくいかなくても、気になりませんでした。「糸を切ってはならない」と言う気持ちだけでした。終わった時、ホッとするような、達成感のような落ち着いた気持ちになっていました。これも、太極拳の効果なのかもしれません。

 

 最近学んだだけでも「円襠開胯」、「裹臀(グオ・トゥン)」、「尾閭中正(ウェイ・リゥ・チョン・ジュン)」などがありますが、これらと一緒に手の動きとして「紬糸勁(チョウ・スー・ジン)」をすることができれば、どのような太極拳になるかと楽しみです。とりあえず、胴体の注意事項1つと紬糸勁とを同時にできるようになりたいと思っています。