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54.筋膜

今回の先生のお話は筋膜についてでした。

筋肉は筋膜という薄い膜で覆われています。更に筋膜で覆われた一塊の筋肉が複数集まって全体を包む筋膜で覆われ、何重にも筋膜で覆われているのが、私たちの肉体だということです。そして、これらの筋膜は全身に繋がりを持っているので、そのことを理解して身体を動かすと、無理のない運動ができるようになるのだそうです。

全身に繋がる筋膜で包まれた筋肉群の一つに「スパイラルライン」と呼ばれるものがあります。これは、左右2系統があるのですが、左側の耳の後ろから始まるスパイラルラインについてみていきますと、左耳の後ろから、首の後ろ、右の肩甲骨の上、右わきの下、お腹の前、左腰、左足の裏側、左足首の内側に至る経路を通るのだそうです。これからわかるように、スパイラルラインは言葉の通り身体に巻き付いている筋肉群なのです。右耳の後ろから始まり、同様の経路を通って右足首の内側に至るスパイラルラインと背中の上の方やお腹で交差しています。

 太極拳は、身体を回転させることがとても多い運動です。例えば、左足前の野馬分鬣(イェマーフェンゾン)から右足前の野馬分鬣に移るとき、左弓歩から重心を後ろに移動し、概ね馬歩(マーブ)の形になった後、身体を左に回転させます。この時、敵のいる左の方を見ようとすることで、左耳の後ろから始まる筋膜が収縮し、これが右わきの下から左腰に繋がる筋膜を収縮させて右肩を左に回転させ、腰を左に回転させ、更に左足踵の内側に繋がの筋膜を収縮させて左足のつま先が左を向くことになるという、一連の動作が起こるのです。これらの動きの発端は左耳の後ろの筋膜が収縮したことで起こっていることを考えると身体の作られ方の不思議さ、巧妙さを感じます。これと反対の回転に関与する筋肉も有るし、その他多数の筋肉が連動しているので、身体は力を使わなくても動くように作られているのだと思いました。

 

 これらのことを教わったあとで、簡化24式を練習しましたが、感覚としては、ほとんど何も感じ取ることはできませんでした。おそらく、身体から力が抜けきっていないから筋膜の働きを感じ取ることが出来なかったのだろうと思いますが、いつか、これが感じ取れるようになったら、すごく楽しいだろうなと思いました。