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55.全身で動く

 前回、筋膜のお話がありましたが、その続きのお話がありました。

 筋膜とは、筋肉や臓器を包む非常に強い繊維質の細胞です。更に、小さな筋肉を包む筋膜があり、そのような筋膜で包まれた筋肉を複数個束ねた筋膜があり、更にそれらを束ねる筋膜があるというように、筋膜は多層になっています。筋肉や臓器は個々に独立して存在しますが、この筋膜は全身に繋がっています。このため、例えば悪い姿勢をしていると、どこかの筋肉が硬くなり、その影響が筋膜の繋がりによって別の処の動きに支障をあたえ、痛みを生じさせることが起こるのです。私たちは、まず、姿勢を正しくして、身体のどこにも異常な負担をかけないようにしなければならないとこを学びました。身体に痛みがあると、痛いところの周辺だけをマッサージしたりしますが、原因は全く違うところにあるということがあるのだと知りました。

 

 逆に筋膜の繋がりを利用することで、力を入れなくても体を動かすことが出来ることを教わりました。実際に行ったのは次のような動作です。

(1)息を吐くと胸が小さくなります。胸が小さくなるのに

  合わせて、例えば、右肩を左腰の方に近づけます。これ

  は、右わきの下から左腰に繋がっている筋膜を収縮する

  動作で、筋膜の動きに従えばよいということのようで

  す。上体が回転して重心が左足に乗り易くなります。

  今度は、息を吸うと胸が元の状態に戻ります。

(2)横へ移動する側行歩の動作では、上体をこの状態で動

  かしながら足を運びます。息を吐いて上体が左に回転し

  重心が左足に乗った時、右足を左足に引き寄せ、つま先

  を着きます。息を吸って上体が元の状態に戻った時右足

  の踵を下します。体重は両足に均等にかかります。次に

  息を吐いて胸を小さくしたとき、今度は左肩を右腰に近

  づけるようにします。上体は右足に乗るので、左足を開

  いてつま先をつけます。息を吸って胸が大きくなる時、

  上体は正面を向き、左足の踵をつきます。体重は両足に

  均等にかかるようになります。

 

これは、「雲手(ユンショウ)」の身体と足の動作です。これに手の動きを付ければ「雲手」になります。このように、筋膜のことを知り、その動きを理解すれば、身体は力を使わなくても動かせることを体験しました。

しかし、簡化24式の全ての動作をこのように筋膜との関係で考えるのは大変なことだと思いますので、まずは、前進する時の筋膜のことから調べて見ようと思っています。