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57.イメージを持つ

先生は三大柔拳というものがあることを紹介してくれました。これは、太極拳、八卦掌、形意拳をいうそうです。形意拳は、形がどういう意味を持っているか、ということを追及する拳法です。特に動物のイメージを使うことが多いそうです。太極拳においても、馬、鶴、雀、龍などの動物の名前が使われており、それぞれの動物がある動作をした時の姿をイメージしているという説明がなされました。最も良く言われるのが「白鶴亮趐(バイハォリャンチー)」で、これは、白い鶴を羽を広げて美しいでしょうと自慢している姿をイメージすると言われていますし、攬雀尾(ランチァオウェイ)は孔雀の長い尾をもてあそぶイメージと言われているそうです。

 人間は、古い昔に、2本の足で立ち上げり、手で道具を持つようになってから、動物として本来持っていた動きをしなくなってしまったではないかと先生は言います。動物の動きを観察し、真似をすることで、本来持っていた動きができるようになるのではないかと考え、動物の動きをイメージしてこれをまねることが多いと言われているそうです。そのためには、太極拳の型の名前を、ただ覚えるのではなく、どのような動物のどのような動きと内面的な「勢い」をまねるのかということを考え、それをイメージして、その動きをまねるつもりで動くと、動きが自然になり美しくなると教えられました。簡化24式の中で、自分で理解している動物の名前を思い出しながら動いてみたのですが、なかなかイメージがでてきませんでした。

 

今日は、もう一つ大切なことを学びました。それは片足で立つときの、手や身体の動きです。太極拳の套路では、片足で立つときに、片足で立てるように予め手の動きや腰の回転が行われるように作られているということです。この動作を忠実に守れば、必ず、自然に片足で立つことが出来るというのです。決められたことを行わないと、片足で立つ準備が出来ていない状態で片足で立たねばならなくなり、力を使って立つようになります。力を使うと筋肉が硬くなり、それを動かすことで体を痛めることになります。片足で立とうとするとき、体重のほとんどが軸となる足に乗っているのに、反対の足のつま先が地面から離れない状況になります。この時に手を新しい軸足の更に遠くへ持って行くことで自然につま先がはなれます。あるいは、手を使うことが出来ない状況では、身体をわずかに回転させるとつま先が浮いてきます。これはとてもすてきなことでした。自然につま先が浮いてきて片足で立つことが出来たのです。