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58.緩如鷹(緩やかなること鷹のごとし)

膝の関節を意識しないで、少し腰を落として立っている状態で、膝が動くかどうか試してみなさいと先生に言われました。普通に立って膝を動かしてみました。膝は左右に動きました。先生は、それは膝に力が入っているからだと言われました。関節の力を抜くと、膝は動かなくなるといいます。逆ではないかと思って実際にやってみると確かに、膝の力を抜き、緩めると膝は動かなくなりました。これが正しい姿勢であると先生はいいました。身体を支えるために膝などに使う力を「拙力」というそうです。身体を支えようとして拙力を使うと、逆に膝は動いてしまうのだそうです。関節を緩め、拙力を使わないようにすると膝に力が入らず、真っ直ぐに立てるし、膝も動かないといわれ、その練習をしましたが、なかなか納得のできる状態になりませんでした。

また、先生は力を抜くことで体全体は動くことが出来るようになると言い、動きの基本的な考え方として「動如涛、緩如鷹(動くこと波のごとく、緩やかなること鷹の如し)」という言葉を教えてくれました。波は寄せては返し、滑らかな動きがとまることはなく、浜辺に打ち寄せた波の先端はまだ先に伸びようとしているとき、大元の波は既に引き始めている、全体として途絶えることのない動きをいうようです。また、鷹は、大きな羽を拡げ、ゆっくりと大きくのびのびと滑空しています。太極拳の動きも、留まることなく、伸び伸びと緩やかな動きを心がけることが大切だと学びました。

 

 これに関連して、「十二型」と言うものも教わりました。

   動如涛  動くこと濤(なみ)の如く、

  静如山  静かなること岳(たけ)の如く

   起如猿  起(た)上がること猿の如く

  落如鵲  着地すること鵲(かささぎ)の如く

   疾如風  疾(はや)きこと風の如く

  緩如鷹  緩(ゆるやか)なること鷹の如く

   重如鉄  重きこと鉄の如く

  軽如葉  軽きこと葉の如く

   站如松  站(た)つこと松の如く

        [根をはって立つの意味]

  立如鶏  立つこと鶏の如く

   転如輪  転ずること輪の如く

  折如弓  折ること弓の如し

       [たわむという意味]

 

     *この十二型は別のパターンもある様です。