東海道新幹線の車内で起こった殺人事件を受けて、太極拳を学ぶ私たちは、護身術としての太極拳を意識しておく必要があるということで、先生は太極拳の考え方や動きから、護身術に結び付くところを説明してくれました。
1.基本的な考え方
相手から身を守ることに専念する。攻撃するとか、捕ま
えようとするとかは私たちが考えることではない。
2.目線
相手から目を離さないこと。目を離した瞬間に襲われる
恐れがあります。
3.胸を守る
最も大切な身体の部分は心臓と喉であるので、胸や顔を
しっかりと守るように意識することが大切です。
具体的には、まず半身に構えること、決して真正面で相
手と対峙しないことです。そして、左側を前にした場合
は、左手を前に突きだし、手の甲を相手に向ける。これ
は、手の甲、腕の外側は骨が通っており固いこと、そし
て血管を内側にして守ることを意味します。右手は肘を
曲げて、掌を左胸や喉を守るように配置し、やはり、手
の甲を外に向けます。これは心臓や喉を守りながら、手
首の血管も守る態勢です。
この形は、太極拳の手揮琵琶(ショウフィピーパー)や
倒捲肱(ダオジュェンゴン)と非常に良く似ています。掌
も向きが違うことと、右手が左胸の近くに付いていること
ぐらいの違いしかありません。
4.相手の視界を妨げる
比較的相手と近くにいる場合には、前に出した手で相手
の視界を塞ぐようにします。相手が嫌がって他を向けば
しめたものです。
5.道具を使う
手近にあるものは、何でも身を守るための道具として使
うようにします。
新幹線の座席シートが防御用の盾になるように取り外せ
ることは知りませんでした。