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62.護身

 東海道新幹線の車内で起こった殺人事件を受けて、太極拳を学ぶ私たちは、護身術としての太極拳を意識しておく必要があるということで、先生は太極拳の考え方や動きから、護身術に結び付くところを説明してくれました。

 

1.基本的な考え方

  相手から身を守ることに専念する。攻撃するとか、捕ま

  えようとするとかは私たちが考えることではない。

 

2.目線

  相手から目を離さないこと。目を離した瞬間に襲われる

  恐れがあります。

 

3.胸を守る

  最も大切な身体の部分は心臓と喉であるので、胸や顔を

  しっかりと守るように意識することが大切です。

  具体的には、まず半身に構えること、決して真正面で相

  手と対峙しないことです。そして、左側を前にした場合

  は、左手を前に突きだし、手の甲を相手に向ける。これ

  は、手の甲、腕の外側は骨が通っており固いこと、そ

  て血管を内側にして守ることを意味します。右手は肘を

  曲げて、掌を左胸や喉を守るように配置し、やはり、手

  の甲を外に向けます。これは心臓や喉を守りながら、手

  首の血管も守る態勢です。

 この形は、太極拳の手揮琵琶(ショウフィピーパー)や

倒捲肱(ダオジュェンゴン)と非常に良く似ています。掌

も向きが違うことと、右手が左胸の近くに付いていること

ぐらいの違いしかありません。

 

4.相手の視界を妨げる

  比較的相手と近くにいる場合には、前に出した手で相手

  の視界を塞ぐようにします。相手が嫌がって他を向けば

  しめたものです。

 

5.道具を使う

  手近にあるものは、何でも身を守るための道具として使

  うようにします。

  新幹線の座席シートが防御用の盾になるように取り外せ

  ることは知りませんでした。