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66.ハンドルをつける

武という字は「矛」と「止」という字から出来ていまする。矛を持って立っている人と読むことができます。

「武」を学ぶ人としては、身に降りかかるあらゆる災難に対して対応できるようにしておかなければなりません。このためには、

・少なくとも死ぬまで自分の足で動けるようにありたい。

・自分の免疫力を高めていたい。

・例えば、水に流され、揉まれているうちに何ができるで

 しょうか。それは「落ち着け」と自分に言い聞かせるこ

 とです。落ち着くことが出来たら、助かるための何かが

 見つかる可能性が高まります。。

太極拳も武術です。太極拳を練習している私たちは、「心静体鬆」の練習をしています。これは、リラックスしにくい状態の時でもリラックスできるようにするためです。

 

人間の身体は、動き続けなければ、身体が硬くなり、本来の機能が使えなくなります。動きの基本は命門の動きであると先生は言います。。命門を後ろに引っ張ることで、身体が真っ直ぐになります。命門は後ろに開く扉なのです。

「命門后撑」(命門が后にあるようにおさえておく)を常に意識することが重要であると教わりました。

①命門を後に支えると、腰椎が真っ直ぐになる。

②このときに、身体にハンドルをつける。

③ハンドルが動かせるようになる。

④ハンドルが効くようになる。

⑤中心軸が狂わないように軸を動かす=「軸を通す」とい

 う

⑥「腎愈」と「環跳」を動かして方向を変えることができ

 る。

この一連の動作で大切なことは、自分に向かって歩いてくる人に「道を空ける」ように身体を動かすことであると教わりました。

 

 私たちは、命門を後に引いてハンドルを回す練習を繰り返し行いました。

この動作を繰り返しながら、私は、以前に習った仙腸関節のことを思い出しました。仙腸関節を折るようにして更に斂臀をすると、腰の形が「命門后撑」と同じになると思いました。練習しながらいろいろと試してみました。身体のハンドルは手で扱うものではなく、腰で扱うものだと知りました。

 

 先生は全ての動作の前に命門を後ろに下げる動作をするように指導され、その動作が腸を刺激し、免疫力を向上させるのだと説明されました。これはとても難しい動作であるが、「やろうとすること」が最も大切だと言われました。