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67.求中

人は立っているだけで、腰椎に全身の体重がかかって、腰椎がつぶれることがあるようです。これは立ち方が悪いからでしょう。人は普通に立つとつま先に重心がかかるように立ってしまいます。これは眼や耳は前に向かってついており、心も前に関心があり、無意識に前に進む準備をしているからであると思われます。つまり、人は立った時、前傾しているのです。人間が骨だけで作られていたら、この姿勢では、前に倒れてしまうでしょう。人間には筋肉がありますから、この筋肉を使って前に倒れるのと防いでいるのです。これは、首から腰につながる背筋がその役目をになっているのです。前に倒れそうなものを後ろ向きに水平に引っ張ることが出来れば、それほど大きな力は必要ありませんが、ほとんど直角の方向に引っ張って同じ力を出そうとすると、とても大きな力が必要になります。一説には腰にかかっている力は300kgにもなると言われています。この力と上半身の重さを支える力で腰椎は押しつぶされそうになっているのです。

この前に傾いている姿勢をまっすぐ垂直に立つようにすれば、身体を支えるための力は不要になり、腰にかかる不要な力はなくなります。身体の重さを踵側(くるぶしの上)で

感じるようになれば、真っ直ぐな姿勢がとれていると考えてよいようです。

身体を回転させる時は、身体の中心を軸にして回すことが重要です。人間の身体を上から見た時、円だとすると、円の中心を軸として回転すると、身体の前が右に動けば、身体の後ろは左に動きます。即ち身体の前側も、後ろ側も同じ円運動をするのです。これはコマの回転と同じでほとんど力は必要ありません。一方、身体の後ろ側を固定して前側だけを回転すると身体の後ろを軸として身体全体を動かす運動になり、身体を支えるために背中や腰に大きな力を必要とするようになります。私達は、自分の身体の真ん中がどこにあるかを探さなければなりません。これを「求中」というそうです。そして身体の真ん中が分かったら、その真ん中をキープして動くようにします。これを「守中」というそうです。私達人間の身体は、上から見た時、円ではなく、横に長い楕円に近い形をしています。身体の真ん中がどこか、自分で探してみて、実感することが大切であると教えられました。私は背骨の少し内側ぐらいに真ん中を感じました。私たちは、各自、自分の身体の真ん中を探し、それを守りながら簡化24式を練習しました。自然と頭が真っ直ぐになるのを感じました。また、体の後ろ側を動かすことで体を回転させることの要領も少し掴めた気がしました。練習あるのみです。

中心を軸にした回転      背面を軸にした回転