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69.洗髄

 『良く「体幹を鍛える」という言葉を聞くが、「体幹」とはどの部分のことだろう。また、こういう話になると「inner muscle」という言葉がでてくるがこれは何だろう。』と先生に尋ねられ、体幹=胴体、inner muscle=骨に近い筋肉ぐらいに漠然と考えていた私は、大いに恥ずかしい思いをしました。

 

 私たちの身体は、大まかに言えば同心円で出来ています。一番外側には皮膚があり、その内側にouter muscleがあります。その内側にあるのがinner muscle

で、更にその内側に骨があります。そして、骨の中心部分を「髄」といいます。そして、これらは、次のように言われているそうです。

 

    筋肉・・・幹

    骨 ・・・軸

    髄 ・・・芯

 

 太極拳が最も大切にしているのは、髄(=芯)だそうです。髄は、「真髄」という言葉があるように、ことの本質であり、やわらかで折れることはありませんが、身体の中心であり、しっかりとしていなければならない。私たちは太極拳の練習を通して身体の「髄」をきたえなければならない、と先生はお話されました。筋肉を鍛えることを目標とするのではないことは以前から良く分かっていましたが、髄を鍛えるとは、何をどうすれば良いのかまるで分かりませんでした。ただ、筋肉の緊張を取るように心がけること、身体は骨を積み重ねて真っ直ぐに立っていることができるようにすること、なるべく力を使わないで行動するようにすること、呼吸も含めて全身が同調して動くようにこころがけること、かな(?)と思い、首をひねっていました。

 

 更に先生は、「易筋、洗髄」ということをお話されました。「易」とは「変える」という意味、また「洗髄」とは「髄をきれいにする」という意味だということでした。しかし、私には、頭で考えるのではなく、自分の身体がどのようになっているかを感じ取ろうとし、身体が発している信号をキャッチするように心がける必要があるということだけしか理解できませんでした。