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80.収腹斂臀

 先生は下図のようなお腹の断面図を私たちに見せ、脊椎(背骨)はお腹の後ろにあるのではなく、かなり中央部分にあることを示されました。私たちは、「背筋を真っ直ぐに」と言われると、背中をピンと伸ばしていましたが、本来、主に体重を支える脊椎は、身体の後ろにあるのではなく、中央部に近い所にあることを意識しなければならないということです。腰を反らしてお腹を突き出した姿勢では脊椎が前方向に歪んでしまうため、身体の中心に脊椎を持ってくるようにすることが「背筋を真っ直ぐに」することなのです。お腹の側を引っ込めて脊椎の前後のたわみを真っ直ぐにすることも大切です。このため、お腹を引っ込め、お尻を丸くして前方にたわんでいる腰椎が真っ直ぐになるようにします。これを「収腹斂臀(ショウフ・リェントン)といいます。

 私達は、この説明を体験するために、単鞭(ダンビェン)を繰り返し練習しました。先生は、足の付け根は腸骨だと言いながら私たちに練習をさせました。私は、最初、先生の言葉の意味が分かりませんでした。しかし、何度かこの動作を繰り返しているうちに、最後の形を決めるときに後ろ脚の付け根が広がる感じがしました。これは、収腹斂臀をすることによって仙腸関節が最大に開いたためだと気が付きました。私はこのとき、きっと形がきれいに決まっているのだろうなと思いました。