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85.後ろに歩く

 先生は下図の絵を描き、「頭頂青天、脚抓地(頭は晴天を頂き、脚は地を抓む)」と言われました。

人は、天・人・地の真ん中にあり、「随:したがう」ことに意識をもたなければならない。「我先に」と思うのは止めた方がよい。常に人間は真ん中にいることを意識しようと言われました。

 更に、我々の手足は前に向かって動くようになっている。このため、前に強い意識を持つように育ってきた。しかし、「後ろに歩く」ことを意識することが大切である。後ろに進むという意識を持ったままで前に進むようにすると、身体が真っ直ぐになり、姿勢が良くなり、気持ちも良くなると言われました。

 我々の身体を貫く真っ直ぐな垂直の線がある。それを意識しよう。「後ろ向きに楽をする」ように心掛けようと言われ、私たちはくりかえし後ろに歩くことを練習しました。「気貼背(気を背に貼る)」ことの練習でした。後ろに歩く練習を行った後、気貼背の状態を保ちながら前に歩く動作をしました。これまでとはどこか違う感覚でした。背中に支えられて手や足が前に出ていくような、安心して手や足を前に出せる感覚でした。

 

 更に先生は、「天機不如地利、地利不如人和(天の機は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず)」と言う言葉を説明してくれました。「和」と言う文字も構成を説明され、「和とは穏やかなことをいいましょう」と言う意味であると言われました。そして「自分の中に和を見つけよう、和の状態であれば、心が落ち着いて、気持ちの良い状態になる」と言われ、練功や太極拳のいろいろな動作について動きの中で和を見つける練習をしました。動きの中で、ときどき、これかなと思うところがあり、うれしくなりました。