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87.呼吸

小腸は免疫力と関係がある。小腸を冷やさないこと、腹の運動をすることは、免疫力を高める上で大切なことである。腹の運動として、代表的なものは腹式呼吸であり、斂臀(レントン)である。

 

陰陽五行説の五行では、木、火、土、金、水をそれぞれ内臓に当てはめており、木は肝、火は心、土は脾、金は肺、水は腎となっている。これらは臓器そのものもさすが、その臓器の働きも表しているとされている。木は成長すること、伸びていくこと。火は燃えエネルギーを出すこと。土は生み出し、守ること。金は固く守ること。水は命の源である。(脾は胃と考えても良い。)

 

先生は、このようにお話をされた後、呼吸の仕方について、一つの鍛錬の方法を教えてくれました。まず、息の吐き方として、「イー」と言う時の口の形をして「スー」と発音します。「呬」という文字で表され、中国語の発音では「si」と表示されます。

①両手を両脚の横に下し、足を肩幅に開きます。

②両手の親指をそれぞれの脇の下あたりに持って行き、

 肘を下げて掌が胸と直角になるようにします。

 ③胸を大きく膨らませて息を吸います。

 ④上記の口の形をして「スー」と息を吐きながら両手を

  前に推しつつ少し腰を落とします。この「スー」と息

  を吐く時には口の両端から邪気が出ていくようにしま

  す。

 ⑤息を吐き終わったら元の姿勢に戻ります。

 

 このような呼吸の練習をしたうえで、太極拳の動作をしている時の呼吸の仕方を習いました。基本は、「背中で吸って、腹に吐く」ということです。動作でいえば、足を運ぶときには息を吸い、動いている時は息を吐くことを基本としますが、息を吐く動作が長くなる時などは、息を吐くのを2回に分けるとか、短く息を吸うところを作るとか、自分の動きと呼吸の調和が取れる方法を各自探しなさいということでした。先生は、「太極拳は呼吸優先の運動ではない」と言われ、心理状態を良くすることに心を配るように注意されました。

 

そして、「力の源は腹にあり、力が出るのは手にある。陰陽魚がそれを表している」と言われました。