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96.坐ると計る

 先生は、北京での練習のお話をされ、徐老師の動きが、また、大きく変わっていたとお話をされました。

 

 最初に膝の動きについて、「膝要向上翹」という文字を書かれ、「膝は上に向かって跳ね上げるように動かす」という意味であることを教えてくれました。ちなみに「翹」という字は鳥の尻尾が上にピンとはね上げっている様を言うのだということも教わりました。また同時に「不要向前圧」という文字を書かれ、

「膝を前に向かって押し付けるようにしてはいけない」と教わりました。

 

 「上に向かって跳ね上げる」と言う動作については、膝の付け根は股関節であるので、ここを中心にして膝は円運動をするので、膝の位置を動かさないようにして円運動をするには、股関節を円運動をして下げていくしかないのだと言われ、この動きを「坐る」というと言われました。ただ腰を落とすだけでは膝は前に押し出されるようになり、やってはいけないことをすることになるのだとも教わりました。

 

 また、この動作に続いて起こる片足に体重を乗せる動きについては、体重計に乗って自分の体重を計る時にように、少し上下に身体を動かすぐらいのゆっくりとした動きで重心を片足に移動させるようにいわれました。そしてこの動きを「計る」ということを教わりました。

 

 

 私たちは、野馬分鬣の動作でこの二つの動きを練習しました。「坐る」動きはこれまで自分がやっていたことと違いましたので、なかなか要領をえることができませんでした。足の力もないので腰を落として支えることはとても難しく感じました。先生が最初にこれを教えてくれる時に、イスに腰をおろし、左の腰をイスに乗せたまま、右足を後ろに引いて弓歩に近い形をつくり、このときの腰、背中の緩みを感じるようにしなさいと言われたことを思い出し、イスに座ることをイメージして動くと、少し、これかなと思うような動きを感じることが出来ました。練習あるのみ、毎回、こればっかり思って言います。