· 

98.対称性

 交差点で信号待ちをしていた幼稚園児の集団に、右折してきた車を避けようとした車が飛び込み2名が死亡10数名がけがをするという痛ましい交通事故がありました。先生は「見えてる世界と同じ世界が後にもあるが、それを実感するのはとても難しい」ということをお話され、命門の話に入りました。

 

 先生は次のように言われました。『私たちはどのような動作をするときにも、最初に命門を思い出すことが大切である。命門を思い出し、命門をゆるめてから動作に入るように心掛けなさい。命門は第2腰椎の下のくぼみの部分にあるので、各自、自分の命門がどこかを感覚として把握するようしなさい。背骨を身体を支える柱だと思っている人が多いが、柱だと思うと筋肉が緊張して固くなり動かなくなる。背骨を持っている動物で背骨を動かさないのは人間だけである。私たちは背骨を動かないようにしているから動かないのだ。「命門を開く」と思うだけで足のしびれが治った人もいる。命門を開くことは全ての動作において最初に行うべきことである。』

 

 また先生は「対称性」ということについても次のようにお話されました。

『月は地球の周りをまわっているが、これは地球に向かう引力と、月の動きによる遠心力という地球から離れる力の2つの力によるもので、これを対称性という。命門を後ろに膨らませるのに合わせて手は前に出るのが自然な対称性を使った動作である』

そして私たちは「起勢」の動作でその動きを実感するように練習しました。

起勢の動作を始める前にまず命門を後ろに膨らませます。これにより体重がかかとにかかり、バランスを取ろうとして自然に両手が前にでてきます。これが対称性です。そして、上がった手を下げるときには頭を上へ、腰を下へ動かすように意識します。この間、身体はリラックスするように、身体のどの部分にも力を入れないように心掛けます。頑張って身体を沈めようとしたりすると、身体に力が入り筋肉が緊張して、この動作を台無しにしてしまうことを学びました。何度も繰り返して練習しました。力を抜くことの難しさを感じる練習でした。

 

 

 また、雲手の動作では、足を動かしてつま先を着いた後、踵を地面につけるまでの間は、手を動かしたり、身体の向きを変えたりというような動作は一切しないで、ただ命門を後ろに開くことだけに集中するように教わりました。