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102.水の入った皮袋

先生は白板に、「大道廃有仁義(大道すたれて仁義あり)」と「智恵出有大偽(智恵いでて大偽あり)」という2つ言葉を白板に書き、最近不自然な事件が沢山起きている。方向を変えた方が良いのではないかと思うとお話され、せめて、自分だけでも正しいことをしていこうと思うようにしてほしいと言われました。

 

 私達は既に力を持っているのに、何故、それ以上に力を持とうとするのか。私たちは地球の上に立っている。常に重力を受けている。この重力とどのように付き合うかを考えて欲しい。一つは重力にあらがう方法であり、もう一つは重力を利用する方法である。人は頭脳を使って重力にあらがう方法を発見してきた。そして便利にそれを使っている。しかし、私たちの身体を考えるときは、自然のままで良いのではないか。重力に寄り添い従っていくことである。

 

先生は次のようなお話をされました。柔らかい皮の袋に水が入っているものを想像して下さい。この袋はどこに置いても倒れることは無く地面に置かれているでしょう。袋のどこかを押すとその部分は引っ込んでも袋全体は少し変形してもしっかりと地面に置かれ続けているでしょう。一方、水の入っているペットボトルを想像して下さい。ペットボトルは急な斜面の上では立てておくことはできません。平坦なところに置いても、横から押されると倒れてしまいます。中の水が凍っている場合にはこの現象はもっと極端になるでしょう。私たちの身体は、水の入った皮袋であると認識しましょう。袋の中には骨という固いものも入っていますが、全体的には水の入った皮袋と考えるのが良いと思います。どのような場所に置かれてもその形を受け入れてそれに合った形で立っていることができます。どこかを押されてもそれを吸収して形を変えて立っていることが出来ます。このように、柔軟な立ち方、動き方ができるように意識して練習して下さい。

 

そして私たちは簡化24式をこの意識を持ちながら練習しました。身体から力を抜くこと、自然の力を感じることの難しさを感じました。この意識を持ち続けることが、自分を水の入った皮袋と感じる第一歩だと思いました。