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101.風を受けた帆

 私達は健康寿命=寿命とすることを目標としている。(即ちPPKである。)

 たいていの日本人は、健康寿命の方が短いので、人生の最後において他人のお世話になっている。

  • 身体の中の流通を良くすること
  • 運動機能を良くすること
  • 筋肉の収縮によらない運動をすることこれらによって、身体の弾力を維持・向上させる。

一番弾力をつけたいのは関節である。

このため、筋に弾力をつける。筋とは靭帯であり、腱である。

 

 関節の間を縮めたり伸ばしたりすることで筋に弾力をつける。縮むのは身体が勝手にするので、我々は、伸ばすことに意識を払えばよい。帆が風を受けて膨らむように。

 身体を動かすときに筋肉を使うと関節を押し付けてしまう。関節を開いた状態で動かすことを目指す。一番は背骨である。背骨の間隔が広がると背が高くなる。太極拳をして背が高くなったと言う人もいる。力を抜いて関節を拡げることが大切である。

  

掤(ポン)とは膨らむ力と、縮む力を共有する状態である。

風を受け膨らんでいる帆を想像してほしい。これが掤の状態である。

また、手を小さくしていく時も背中は広がっていく。餃子の餡を包む皮のように餡を包んだ部分が多くなるほど皮は広がり伸びている。

 

 太極拳の動作では常に広がりを意識しなければならない。例えば、野馬分鬃(イエマファンゾン)の動作で手を前に出した時、両肩が正面を向いていたら、両手と両肩の位置は一本の弓状の線上にないので、両手両肩で、風を受ける歩のように膨らむことはできない。両肩が前に出した手の側の肩の方が前になるような斜めになっていれば、両手と両肩は一本の弓状の円弧の上にあり、風を受ける帆の形を作ることが出来る。これにより、両手をひろげ、背骨を後ろに膨らませて背骨の間隔を拡げることが出来る。太極拳は一つ一つの動きの中で関節を拡げる動きができるようになっているので、それを意識して練習することが大切である。