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107.背は陽

 この日は、天皇陛下の即位を宣言する「即位礼正殿の儀」が行われたことにちなんで、先生は陰陽のお話をされました。礼砲の数は奇数であり、奇数は「陽」であると。もともと、陰は地面の中であり、陽は地面の上である。地面の中には根があり新しい花を咲かせる力であり、安定を表している。地面の上には花が咲いており美しく、変化を表している。陰は表に出ているものを支える役目を果たしている。

  

 人間の身体で言うと、背中は陽であり、体の前側が陰である。また、手は陽で自由に動く。背中は陽であり自由に動くものである。体を支える役目を背中に負わせると、背中は自由になれない。体を支えるのは、体の前側でなければならない。手は陽であるが、背中が陽でなければ、手は陽にはなれない。

  

 私たちはこれらのお話を教わったうえで、野馬分鬣(イエマフェンゾン)と倒巻肱(ダオジェンゴン)の練習をしました。背は陽であり、気は下から上にあがる。体の前は陰で気は上から下に降りる。背中をまっすぐにしていても、頭が前に傾いていると背中はまっすぐにはならないことを注意されました。頭が前に傾く原因の一つは視線が下を向くことであることも教わりました。背中をリラックスさせ胸を引っ込めて、前をまっすぐ見ることなど、たくさん注意されました。

  

 また先生は、陰陽と自律神経のお話もされました。体を興奮させる交感神経は背中からでているので、背中をゆったりとさせることが重要で、体重を背骨で支えようとするような動きはしないように注意されました。これらを習った後で簡化24式を通して練習しましたが、そのテンポは、これまでに経験したことのないほどゆっくりとしたものでした。