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109.体の中心

 先生は、人間の身体の構造についてお話をされました。

 

 人間の身体は、脊椎という縦の棒の前側に頭、胸、骨盤がついている構造になっている。この形は縦の棒の前側にばかり重たいものがついており、縦の棒をまっすぐに支えるのは大変なことである。私たちの身体は、脊柱起立筋という背骨の後ろ側にある筋肉で、前に倒れないように支えている。私たちは、意識して体を後ろ側に持っていき、中心線を体の真ん中に来るようにしなければならない。

 

 頭の一番上に「百会」というツボがある。また胴体の一番下には「会陰」というツボがある。この百会と会陰を直線で結ぶのが体の中心線であり、これを垂直にすることが重要である。

 

 私たちは、胸と背に手を当て、百会と会陰を貫く中心線を意識しようとしました。これは、どこが体の真ん中であるかを意識できるようになるための練習でした。私は、分かったようで、ボンヤリしている感じでした。先生は、その中心を意識して体を右回転、左回転をするように指示しました。私たちは体を回しました。そして、体を回すときの中心を意識するようにしました。動く前に比べると少しはっきりと中心を意識することができました。

 

 そして、中心で回ることは小さな力でできることを学びました。背中を中心に体を回すと、身体全体を動かさねばなりませんが、体の中心で回すと、中心の前後左右がほぼ同じ重さがついているので、力を入れなくても回れることを知りました。

 

 更に、先生は次のようなお話をされました。普段の生活では、両手が体の前にでているので、体の中心は、体の前側にきているので、そこを中心と意識して体の回転を考えることが大切である。また、敵と相対している時は、相手との中間を軸と考えて行動すると簡単に相手を動かすことができるし、更に可能であれば、相手との真ん中よりの相手側に寄ったところを軸にすることができれば、わずかな力で相手を動かすことができる。

 

 このお話を伺った時、私は、中学生の理科の授業で教わった力学のことを思い出して納得しました。