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110.膝は立てて使う

 先生は、膝の使い方に気を付けるように注意されました。膝は曲がるものですが、前に出した足を曲げる時には膝から下が垂直になるように気をつけなさいと言われました。また、膝頭がつま先より前に出るように曲げることは、決してしないようにとも注意されました。膝から下が垂直になるようにするためには、股関節が引っ込むように体を沈めていくことが重要であると強調して言われました。この動作を縮胯(スオ・クア)ということも教わりました。私たちの身近でいえば、中学生の頃の運動会で行った組体操のサボテンという動作の下の人の膝がこの形であるといわれ、この膝の上にもう一人の生徒が乗っていた姿を思い出し、膝を立てることの姿や意味を理解することができました。

 

 また、先生は、身体全体の動きについて次のようにお話をされました。

  草花の成長を観察してください。芽がでて、茎が伸びていき、枝がでて、葉が出てつぼみがつき、やがて綺麗な花が咲くでしょう。このような成長の中で、ある部分だけが成長し、他の部分は止まっているということはありません。茎も枝も葉も花も同時に少しずつ成長しています。太極拳の動きにおいても、体の一部分だけが動き、他の部分は動かないということはありません。足が伸びているときに腰が回り、背骨が後ろに膨らみながら手が前に出て、首も回転して顔が相手の方を見るというように、さらに細かく言えば、手が伸びているときに手のひらはどう動いているか、指はどううごいているかなど、同時に動いているところは全身であり、その細かなところまで気を配って動作することが大切であり、それが自然な動きであることを理解することが大切です。

 

 私たちは、野馬分鬣(イエマフェンゾン)の動作をして、いつ、体のどの部分がどのように動くかを確認しました。膝を立てて使うことも念頭に入れて動作したので一歩出るまでがとても難しく感じました。