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114.按勢

 今日は、按勢についていろいろなことを教わりました。

 

 掌は縦の状態にあるのが平常の姿です。掌を内旋させると掌は下を向きます。

 「按」という動作は掌を内旋させながら下に押さえて行く動作で、下に行くほど維持するのに力がいります。

  

 呼吸は、息を吸い込むから胸が膨らむのではなく、胸が膨らむから息が入って来るのです。なぜなら、肺には筋肉は無いので息を吸い込む力は生まれないのです。胸の周りの骨、すなわち、胸椎、肋骨、胸骨でつくられる籠状の骨格を胸郭と言います。この胸郭は膨らませたり萎ませたりすることができます。この動きによって、胸の体積が広がったり狭まったりします。体積が広がると息が胸に入ってきて、体積が狭まると息が出ていきます。

  

 按の動作は、腕の力を使って手を下げていくのではなく、胸郭の動きに合わせて、息を吐きながら手を下げていくことが肝要です。呼吸に合わせて動くと大きな力がでます。

  

 按勢の代表的な動作は、「起勢(チーシー)」の時と「攬雀尾(ランチュウウェイ)」の時に現れます。この時は両手がそろって同じ動きをするので、意識しやすいのですが、片方の手だけ掌で押さえていく動作は、いろいろな動作の中に現れます。それらの全ての動きにおいて胸郭を使って掌を下げていく動作をしなければなりません。私たちは簡化24式を通して行い、どこで按勢があらわれるか、意識しながら胸郭を使う練習をしました。

  

 そして先生は、これらの動作をしながら、「気沈丹田、神貫頂」と言われました。「気を丹田に沈め、意識を頭の上に貫け」という意味のようで、その号令がかかるたびに姿勢を正して動きました。姿勢を正して胸郭を小さくし、その力を使って按勢をする、これはなかなか大変なことでした。ゆっくりとした動きで繰り返し練習しないと身につかないと感じました。

  

〇「気沈丹田、神貫頂」

        俯之則弥深、仰之則弥高

      (これを、伏してみれば、即ち、ますます深し、

       これを、仰ぎてみれば、即ち、ますます高し)