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115.鬆動

 先生は、「太極拳は緩むことから始まる。」と言われ、体の緊張を感じたらいつでも「鬆」をするようにいわれました。「鬆」とは、体の部分的なところも含めて、体の緊張を取り除くことであり、「鬆」をすると、緊張が取れて体が緩んでくる。緩むことで身体に変化が起きるので、これをきっかけとして次の動作を始める。動作をすると、体が緊張するので、緊張を感じたらそれを「鬆」によって取り除き体を緩める。このような動作の繰り返しが太極拳である。「鬆」を行うことを「放鬆(ファンソン)」という。太極拳は、「放鬆」と緊張を伴う動作を交互に行う一連の動作であることを教わりました。

 

そして、これらを意識しながら簡化24式を練習しました。「鬆」によって体が緩み体に変化が起こるという、その変化を認識するのが大変でした。確かに変化は起きましたが、それが正しい変化なのか、間違ったものなのか判断ができませんでした。一つ一つの動きに捕らわれている時間はないので、分からないまま、次の「鬆」を行い、また、分からないまま次に進むという情けない状況でした。しかし、それを繰り返していると、全体の流れの中で正しいかどうかは分からないにしても、「鬆」によって力が抜けて、どこかが動くことは分かるようになりました。そしてその動きが次の動きのきっかけとなることも何となくわかるようになったところで、簡化24式は終わってしまいました。

  

休憩時間に、これは大変なことを教わったと思いました。これまで教わってきた動きの一つ一つについて、いつ「鬆」を行い、それによってどんな動きが起こり、それをきっかけとして次の動きにどのようにつなげていくのかというようなことを考えると、簡化24式だけでも膨大な練習をしないと把握できないと思いました。更に、今まで覚え、ある程度身についてきた、これまでの動きが妨害するのではないかと心配になりました。大きな、大きなクリスマス・プレゼントでした。