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124.後ろの5か所

この日の練習が終わって帰宅する電車の中で、私は、今日先生がお話されたことは、中学生のころ習った「テコの原理」の逆の動作だと思いました。テコの原理では、支点があり支点のさきの短いところに重たいものがあり、支点の反対側の長いところを押し下げることで、重たいものを持ち上げることができるというものでした。今日ならったことは、肩や腰の小さな部分を地球の重力を使って下に下げることにより、腕や足など長いものを持ち上げるということだったからです。

  

まず、腕の付け根は肩甲骨です。肩甲骨を後ろ下にさげることにより、自然に腕は上がってくるし、足の付け根は骨盤(腸骨)であり骨盤を下に下げることにより足が持ち上がってくるというのです。更に命門は体の中心であり、命門を下げることで上体が起きてくるというのです。支点からの距離が短い方をうごかすので、大きな力が必要になりますが、体の力を抜いて重力に任せれば良いということのようです。自分の力で重たいものを持ち上げようとするのではなく、重力という自然の力を使い支点を意識して反対側の力を抜きさえすれば、重たいものも持ち上げることができるということでした。

  

私たちは「起勢」の練習をしました。腕の付け根の肩甲骨を後ろに引き下に下げていくようにしました。このとき、自然に両手が前に出ていき、少し上に上がることを体験しました。更に、左足に体重を移し、左のお尻を後ろ下に下ろしていくと、右足の踵が上がり更に体重を左足にかけると右足が完全に浮き上がることを体験しました。この間、腕をあげるとか、右足を上げるというような力を使うことは何一つ感じませんでした。

  

先生は、肩の2か所、お尻のエクボの2か所、体の中心である命門の合わせて5か所を「うしろの5か所」と言い、筋力や体力に寄らないで動ける要点であること、これらを使うように、これまでの身体の使い方を変えることで、体力が落ちても衰えない、体力にたよらないで動けるようになりなさいと教えてくれました。

  

  帰りの電車の中で、このことを思い出しながら体を動かしていたら、周りの人に注意されてしまいました。