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125.頭を意識する

私には、今日、先生は、太極拳の動作で最も大切なことを教えてくれたように思いました。それは、太極拳の動きは、足がどう動くかとか、腕がどう動くかではなく、「手で何をしたいのか」を意識することであるということでした。手で何かをしたいから、それができるところに足を動かして体を運び、体と腕を動かして、手を使えるように準備するのだということでした。このため、指先をどのように動かすかを常に意識することが大切であることを強調されました。そして、これらの基になる身体を動かすことにおいて、頭をまっすぐ上にするよう意識することが大切であると言われました。頭をまっすぐにすることで、「うなじ」が緩んで力が抜け、肩から下の動きがスムーズになるということでした。

 

そして、動作の中で頭をまっすぐに保つ方法として、次の2つがあることを教えてくれました。一つは、頭を上にすることで、もう一つは頭を後ろに保つことでした。頭を上に保とうとするのは、片足立ちになる時、後ろに下がる時であり、頭を後ろに保つのは前に出る時であると教わり、24式の動作をしながら、それぞれにタイミングで頭とどのように保つかを練習しました。私の感覚では、どの動作においても、体がまっすぐであり、ゆっくりと動くことができるように感じました。先生は「これが虚領頂勁である」と言われました。

 

この状態を維持できれば、首の力が抜け、肩の力が抜け、腰からも力が抜けて背骨が「柱」ではなく「すだれ」になると言われました。柱は硬くてしっかりとしている感じですが、伸びちじみも回転もできません。すだれは風に吹かれて膨らむこともねじれることもできます。私は、背骨に関するイメージを変えなければならないと思いました。

 

更に先生は、頭が前に来やすい動作として次の動作を指摘されました。①両手が同時に下にいくとき、②前に動くとき、③片足になるとき、④方向を変えるとき。これらの動作の時には特に意識して頭を正しい位置に保つように注意されました。これらを注意しながら、太極拳の動きを練習しましたが、私は、今まで下を向いて動作していたのだなと思われる場面に何度も気がつきました。頭が上がることで、視線が水平になり、重心が落ち着いて、ふらつくことが少なくなり、ゆっくりと踵を着くことができました。