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13.呼吸

 ザゼンソウという草があるそうです。この早春は冬に花を咲かせるそうですが、その花の芯は、20度の温度を出しているそうです。ザゼンゾウが持っているミトコンドリアが呼吸をし、熱を発しているそうです。

 私たちの身体も、ミトコンドリアを持っていますが、私たちの体温はミトコンドリアによるものではありません。人間の身体は、肝臓と筋肉で体温を創り出しています。燃やすのは、デンプン、脂肪、タンパク質です。体温を正常範囲に維持しているのは、頭の中の視床下部というところです。

 デンプンなどを燃やすためには酸素が必要になります。その酸素は、肺が呼吸することで体に取りいれます。体に取りいれた酸素を身体の隅々まで運ぶのは血液で、その通り道は血管です。身体の隅々の血管はとても細く筋肉が緊張する(交感神経が優位になる)と、一時的につぶれてしまいます。すなわち、酸素が隅々の細胞まで届かなくなるのです。体をリラックスさせることは、私たちが生きていくうえでとても基本的で大切なことなのです。肺で酸素を取り込む時、私たちは息を吸います。これを第一呼吸(或いは外呼吸)といいます。肺に取りいれた酸素を体にはこぶことを第二呼吸(或いは内呼吸)といいます。この第二呼吸の時、私たちは息を吐いています。つまり、息を吐くとき、身体の隅々に酸素を送っているのです。できるだけ、リラックスして、長い時間をかけて息を吐くと、十分な酸素が身体の隅々まで届くのです。

 

 太極拳では、自分の体力に合った姿勢を取ることが大切です。体を沈める程度も、出す足の歩幅も、頑張って体に力を入れて行うのは、間違いです。頑張ると筋肉を緊張させるからです。そして、正しい動きをすることです。ほとんどの場合、身体の正面で相手と向かい合います。相手のいる方向に身体全体を向ければ、ねじれ、傾き、などから生じる筋肉を緊張させる動作は生じません。長年、練習していると、自分のしていることは正しいことをしていると意識下に刷り込まれ、間違いに気づかないことがあります。いつも、新鮮な気持ちで練習するように心がけましょう。