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19.基本を守る

 練功18式の動作を例に、体を動かすときの基本について考えてみましょう。

 練功を始めるとき左足を開いて両手を腰に当てます。この両足を開いてから、両手を腰に当てるまでの動作を注意深くみてみましょう。両足を開いた時、両手は掌が腿に着くように向いています。まず最初に行う動作は、この掌を後ろに向け親指と人差し指の間(虎口:フウコウ)を腿にあてます。そのまま、両肘を、虎口が腰骨の上に来るまで上げて行きます。虎口が腰骨の上に来たら、親指以外の4本の指をそろえてお腹の方へ伸ばします。そうすると、肘から手首を通って中指の先端までが一直線になります。これが動作を始めるまでの準備です。

 次に、首を右、左と回転させます。このときは、身体の中心線(垂線)を意識して、この線を曲げることなく回転させることが肝要です。この前の準備が正しくできていれば、首や肩の筋肉は緩んでいますので、楽に、回転角度を大きく回転させることができます。つづけて、頭を上下に動かしますが、この時、私たちは、頭(頭蓋骨)がどのように支えられているかを知っておかなければなりません。私たちの頭蓋骨は、背骨の一番上である頸椎の先端に乗っかっているだけなのです。頭を上下させる運動は、頸椎の先端は固定させた状態で上もむいたり、下を向いたり頭蓋骨を動かす運動です。この運動においては、頸椎の先端を意識してそこを動かさないでゆっくりと顎を上げたり下したりするものです。首や肩の筋肉をなるべく使わないように手を使って顎をあげたり、下したりしても良いかもしれません。

 ここまでが、練功18法の最初の運動「頸項争力(ジンシアンジェンリィ)」という運動です。一つの運動でも、注意するところはこんなにたくさんあるのです。そしてそれは、全て、身体の構造を知れば、基本的なことなのです。

 

 自分の身体の構造をはっきりと知って、正しく使うことが大切だと感じた練習でした。