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24.梢、中、根

 梢、中、根とは、体を3つの部分に分け、それぞれの役目を明確にする考え方です。それぞれを、梢節、中節、根節といいます。身体全体でいう時には、梢節は手、中節は胴体、根節は足になります。また、腕をいう時には、梢節は手、中節は肘、根節は肩という具合になります。

 それぞれの役割は次の通りです。

梢節の役割は「起」です。これは動作を引き起こすことを意味します。即ち、梢節から動作は始まるのです。中節の役割は「随」です。これは、梢節の動きに従ってついていくという意味です。根節の役割は「追」です。これは、梢節や中節の動きを追いかけるという意味です。そして、そこには、その動きに対する力を提供するという意味があります。

 こうしてみると、中節は、根節で生まれた力を梢節に伝える役割も持っていることが分かります。このため、中節は自ら主導することがあってはなりません。いつも中央にあって、梢節と根節をつなぎとめていなければなりません。そして、その形は力を効率的に伝えるものでなければなりません。胴体の場合には腰がその要になります。腰の形は「鬆腰の状態」であることです。また、腕の場合の中節は肘になり、その形は「墜肘」であることです。

 以前に「中定」ということを学びました。真ん中はじっとしているという意味です。「不偏之謂中」:どちらにも偏らないものを「中」という。「不易之謂定」:変化しないものを「定」という。中節はこの「中定」でなければなりません。

太極拳の動作では、左右対称に動く場合がありますが、この場合は「中定」を保つことは比較的容易にできます。しかし、一方の端が動かず、他方の端だけが動く場合には、中節が梢節よりも先に動き出す動作をしてしまいがちです。

 

この場合も、「中定」を保つように気をつけねばなりません。これは意識して練習するしかありません。