· 

25.中定

 私たちは、通常、地球の上にたっています。私たちの身体は、地球の中心とつながっています。地球が、あまりにも大きいので、私たちは地球という球体の上に立っているという感覚はありません。

 しかし、私たちの身体の中心を貫いて地球の中心と結びつけている重心線は必ずあります。この重心線と身体の中心線が同じであれば、私たちはあまり力を使わずに立っていることが出来ます。腰椎の両端にある筋肉に中指の指先をあてて、ゆっくりと腰を曲げて下さい。中指の先にある筋肉は緊張して固くなっているのがわかります。次に、中指の先の筋肉の固さに注意しながら、ゆっくりと腰を起こしていって下さい。あるところで、筋肉の緊張がフッとなくなり、筋肉が柔らかくなるところがあります。その位置が、身体の中心線と身体の重心線が一致したところです。頸椎についても同じことが言えます。腰椎と頸椎で重心線が一致すれば、身体全体が真っ直ぐに立っていると言えるでしょう。この状態を保つことを中定といいます。中とは偏らないこと、定とは維持して変わらないことをいいます。

 

 次に、回転することについて考えて見ましょう。立った状態で回転する場合には、重心線を中心として回転することが大切です。回転する時の中心を軸といいます。身体は軸を中心に回転するのです。プロペラの場合は、軸が回転して羽が回り、力を出します。4つの羽をもつプロペラも、3つの羽をもつプロペラも、羽は軸を中心に対象についています。逆に言えば、軸は羽の中心にあるのです。私たちの身体でいえば、手が羽の位置にあります。手が動くとき、軸である身体は両手の中心になければなりません。手の動きと、体の回転に注意して、いつも両手の中心に体があるようにすることが大切であり、その状態が最も身体の緊張が無い状態なのです。このことに注意して練習しましょう。