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26.背中を気が上昇する

 「牽動往来、気貼背、斂入背骨(チエントンワンライ、チーティエペイ、リエンルュペイグ)」という言葉があります。これは、「身体の往来に関しては、気を背に貼り付けなさい、最終的には気は背骨に入る」という意味です。

 太極拳の動作をしているときに、気を動かすのですが、その動き方についての教えだそうです。動作の決まりどころ(定勢の状態)の前は指先に気が行っています。定勢を過ぎると気は背中に戻り、更に次の動作に向けて移動する場合には気は丹田に降りるようにするのだそうです。

 左手が前の野馬分鬃(イエマフェンゾン)から、右手が前の野馬分鬃までの動作でこのことを表現すると次のようになります。まず、定勢の状態から体重を右足に戻すときに、気を背中に持って行きます。身体を左に回転させ右足を蹴りだして左足に重心を移す段階では気を丹田に運びます。左足で立ち右足を引き寄せ前に出す段階で、気が背中を上昇するようにします。こうすると背筋が真っ直ぐになり、体が大きく見えるようになります。右足踵を着いてから定勢までは気を手に持って行きます。

 

 このように、太極拳の動きの中で気が体中を動いているようにするということは、おそらくとても難しいことだと思いますが、少し練習している間だけでも気持ち良さを感じたので、正しい動きができるようになれば、どんなに気持ち良く太極拳ができることかと、嬉しいような気の遠くなるような気持ちになりました。