解剖学的に体はどうなっているのでしょうか。
立った状態で体を回転するには、回転軸が必要であり、それは、背骨の少し前になります。
身体の中心を通る骨は、頭蓋骨、頸椎、胸椎、腰椎、骨盤(股関節を含む)、大腿骨、脛骨、腓骨、足根骨で構成されています。身体を回転させるのは、これらの骨の間を捻じることになりますが、各部の回転可能な範囲を理解しておくことが、体を痛めないうえで大変重要です。
頭蓋骨は頸椎の一番上に乗っているだけで、
左右に約45°回転できます。
頸椎は7つあり、その間は同程度に回転し、
合わせて45°回転できます。
胸椎は12個ありますが
上の10個は肋骨で固められていますので、
ほとんど回転はできません。
下の2つは肋骨が身体の前までは伸びていない
ので少しだけ回転でき、2つ合わせて30°回転
できます。
腰椎は、体重を支えるため大きな骨になっており、
回転はほとんどできません。
骨盤に含まれる股関節は、空洞の球体の中に柄(大腿骨)
のついた球体が入っているような構造で非常にな
めらかに回転し、60°回転できます。
膝と足首は前後には曲げられますが
回転はできる構造にはなっていません。
身体は回転できるところと回転できないところが交互に並んでおり、回転できないところを無理に回転させようとしないことが大切です。
また、傾いている軸で体を回そうとすると、不自然な力が身体に加わり、体を痛めることにつながりますので、回転軸は、上下に真っ直ぐである(垂直に立っている)ことが重要です。特に、首から頭にかけては前に傾き易いので、特に気を付けましょう。重い荷物を頭に乗せて歩いている人たちのように首筋を真っ直ぐにしておくことが大切です。太極拳では「虚領頂勁(キョリョウチョウケイ)」と言って、首筋を真っ直ぐにすることに注意