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37.心静

 太極拳には、心静体鬆(シン・ジン・ティー・ソン)という教えがあります。

最も基本的な教えで、「心を静かにし、体をリラックスさせる」という意味で、太極拳を行うときの心と体のあり方の基本とされています。

 しかし、なかなか心が静かになりません。見ている人がいると上手にしなければと思って緊張したり、片足で立つ時などは、グラグラしないだろうかと不安になったり、ほとんど「心静」は保てません。心には、本来燃える要素があり、燃えなければ何事にも取り組めません。しかし、燃えすぎてもいけませんし、太極拳の動作をしているときには「心を静かにしなさい」と言われていますので、心が燃えないように心掛けねばなりません。

 今日は、心を静かにする方法を教わりました。「それは、心臓の脈拍数を少なくすることです。」と言われて、それが出来ないから困っているのではないですかという気持ちになりました。でも、先生は、きちんとその方法を教えてくれました。それは、六字訣という気功の呵字訣という次のような動作です。

 まず、足を肩幅に広げて立ちます。次に両手を前に出して胸の高さで掌を下に向けて、肩、肘を緩めます。これが準備です。この準備の状態に入る間に息を吸います。

 

 ①両手の掌で直径20cmぐらいのボールの外を上か

  下に撫でるように動かし、水を両手ですくうようにし

  ます。手が下に来た時、手のひらは上をむいています。

 ②すくった水を胸にかけるように両手を胸に近づけます。

 ③胸のまえで、手のひらを下に向け、胸にかけた水で心の火を抑えるように両手をゆっくりと下げながら、体も少し沈めていきます。

 ④この時、息を吐きながら声をだします。この声は、お風

  呂に入ってゆったりした時に出す「ハァー」という声

  や、凝った方のツボを押してもらって気持ちのいいとき

  にだす「アァー」という声に似ています。中国語の

  「呵he)」という発音をすることです。

 

この練習をして、それに近い状態で息を吐くことを太極拳の動きの中で行うのです。主に、動きの中で片足に重心を乗せるときに、この息を吐く動作をすることで、「心静」を保つことができるということです。

 

 これからの練習では、このことを意識して「心静」の手がかりをつかみたいと思います。