· 

33.腎愈

 腎愈というツボがあります。おへその真後ろの背中にあるのが命門というツボです。この命門から左右に3cmほど離れたところにあるのが腎愈というツボです。腎愈は、名前からも分かるように腎臓に働くツボですが、腎臓だけでなく、呼吸器系、消化器系、神経系にも働くとても重要なツボです。

 太極拳では、常に身体を回転させます。この回転の時に、大きな水平のハンドルをイメージします。左右の手でハンドルを持っています。左に回りたいときは、左手を手前に引きます。自動的に右手は前に出ていきます。これと同じことを腎愈で行うのです。左に体を回転させようと思う時は、左の腎愈を後ろに引きます。右の腎愈は自然に前に出ていきます。この動きで命門は中心にあるので動きません。腎愈を後ろに引っ張り続けると、体の軸が左に動いてきて右足の踵が浮き、更につづけると右足のつま先も浮いて左足に乗ることが出来ます。

 最初の内は、腎愈の動きだけで左足に乗ることは難しいので、両手を使います。最初に左手が上、右手が下にあってボールを持っているとします。左腎愈を後ろに引くと体が左に回転します。この時に、ボールを持つ両手も左に回転していきます。回転に合わせて、左の肩、肘、手首をこの順に緩めていきます。左手は次第に下に下がっていきます。ボールは小さくなりながら回転し、右手は上に上がってきます。

 手首を緩めるタイミングでボールを縦回転させます。左手が手前側、右手が身体から遠い側になります。この時、同時に股関節を回転させ、両足を同時に向きをかえます。左足は踵を軸として、右足はつま先を軸として左45°を向くように回転します。この時、左側の肩、肘、手首、腰を緩めることによって、右足のつま先は自然に地面を離れ、体重を左足に乗せることができます。股関節には、環跳というツボがあり、先ほどの両手で作るボールを縦回転させるときに、環跳を縦回転させることで全身の回転が同時に起こり、スムーズな動きとなります。そして、回転が終わった時には自然に左足で片足で立っているのです。

 

 この練習をして、自然に片足で立てている状態を実感したいと思っています。