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40.后坐(ホウズオ)

 「偏沈則随」(偏って沈めば、すなわち随う)という言葉があります。

 平らな氷の上に四角い石があ「偏沈則随」(偏って沈めば、すなわち随う)という言葉があります。って、その四角い石を動かすことを想像して見てください。どうすれば、この石を動かすことができるでしょうか。横から押してやれば氷の上だから動くだろうと考えるかもしれません。しかし、そのような力を使わないで動かすにはどうしたら良いかと言われると、考えこんでしまいます。でも、平らな氷の片方を少し低くしてやると、上に乗っている四角い石は低くなった方に動きだします。何の力も使わずに地球の重力だけで動き出すのです。

 私たちの股関節内の摩擦は、水と氷の間の摩擦の10分の1と言われているほど少ない状態にあります。そこで、股関節の片方を低くすれば、上体は自然に反対側に動くはずです。氷の上の石のように。

 

 しかし、私たちの普段の動きは、股関節にストッパーをかけて動かなくした上で、体を動かそうとしているようなものだそうです。本来、股関節が行うことを他の身体の部分を使って行うことになり、その部分を壊してしまっているようなのです。股関節のストッパーをはずすことが大切だということを教わりました。

 

ストッパーがはずれているかどうかは、足と胴体の繋がっている部分が緩んでいるかどうかで判断できるのだそうです。

 

 ・突っ張っている股関節をゆるめること:

  「鬆胯」(ソンクワ)

 ・足の付け根に「ヘコミ」ができること:

  「縮胯」(スオクワ)

 ・股関節を下におとすこと      :

  「落胯」(ルオクワ)

 

 この3つの動きが出来るようになると、股関節を使えるようになるそうです。

鬆胯、縮胯、落胯の練習を繰り返すことが大切ですが、私たちが椅子に座るときには、自然にこれが出来ているといわれました。椅子があると思って、椅子をつかわずに同じ動作をすることにより、これが習得できるようです。

 

 椅子に座る動作は、「后坐」(ホウズオ)と言うそうですが、これから心して、何べんでも、無い椅子に座って股関節のストッパーをはずし、力を使わなくても体を移動させることが出来るようになりたいと思います。